社労士が答える労務管理の質問集~賃金編
労働者は労働の提供をし、その対価として得る賃金によって生活をしています。このため、賃金は、労働条件の特に重要な要素となっています。お金の問題はトラブルになりやすいので、十分に注意が必要です。
賃金を代理人を名乗る人がとりにきましたが、渡してよいのでしょうか
賃金支払いには5原則があり、直接払いはそのうちのひとつです。このため、賃金は本人に直接支払わなければなりません。例外として使者に支払うことが認められていますが、ご質問のように代理人に渡すことは認められません。
賃金の支払日が土日の場合、次の日に支払うことは問題ありますか
問題ありません。しかしながら、就業規則でその旨の定めは必要となります。
最低賃金よりも安い金額で労働契約をするとどうなりますか
最低賃金に満たない金額はその部分については無効となります。この場合は、部分無効自動引き上げといって、最低賃金の額で契約をしたものとみなされることとなっています。なお、最低賃金法違反に対しては、50万円以下の罰金が定められています。
労働者に貸金がある場合、賃金と相殺することができますか
全額払いの原則に違反するので、原則的にはできません。しかしそれが、労働者からの自由な意思表示に基づくものである場合には、例外とされています。
業績不振による給料のカットは許されるのでしょうか
合理的な理由があれば可能となる場合があります。その場合には不利益変更となりますので、原則的には同意が必要となります。また、賃金は労働者の生活の主柱になるものですから、慎重な判断が求められます。会社の経営状態によっては、給料を引き下げなければならないケースもあるところですが、しっかりと従業員に説明して理解を求めることが必要です。また、いきなり給料の引き下げを行うのではなく、他にできる手立てをしっかりと行うことが求められるところです。こうした手立てを行わなければ、従業員の理解も得られません。